【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
ゲイリン・リー「Moment of Bliss」
天気●聴いたことがない音、って、なかなか出会えない。まあ、これだけ長いこと生きてるし、その間すっと音楽が好きで、いろんなものを聴いてるから。でも、たまに、あるんですよね。今回は、音というより声なんですが。
天気●なんだろう、この声は? 幼いような、成熟しきったような、可憐なような、力強いような。偶然、この曲を聴いて、声に衝撃を受けたんですよね。
憲武●この声は、一聴確かに衝撃的ですね。シンディ・ローパーを思ったりしますが、ちょっと違います。
天気●調べると、ゲイリン・リーというフィドルと歌の人。プロフィールには disability(障害)の語も出てくる。骨形成不全症だそうです。容姿のわかる動画もあります(≫こちら)。
憲武●NPR の Tiny Desk Concert の動画ですね。この企画にコーネリアスが出演したのは記憶に新しいところです。このゲイリン・リーという人、どこからこんな惹きつけられる声が出せるのか、不思議です。
天気●ユニークな肉体があるからユニークな声が出せる、と解するのは不適切かもしれませんし、こういうテーマって、適切に話すのは難しいのですが。
憲武●そうですね。僕は特別支援学校に通う児童たちの、放課後一時預かりの施設で働いていたことがあるんですが、すっかり日常となってしまっても、そうした日常を、そうではない人々に話したりするのは、伝えづらく難しいと感じました。この曲は声とフィドルだけで、とても親しみやすく落ち着きます。
天気●この「Moment of Bliss(至福のとき)」、メロディがシンプルで、ゆったりと、声の魅力を伝える。なんか、バタバタした日常から、ちょっと落ち着きたいときに聴くのに最適なんですよね。
(最終回まで、あと784夜)
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