2022-07-17

りん句る100・その3 鈴木茂雄+野間幸恵

りん句る100・その3

鈴木茂雄野間幸恵



201 魔女の棲む森には昏き榠樝かな  S

202 日暮れには終の棲家というチャンネル  N

203 かなしみの旦暮にさくら紅葉かな  S

204 液体を組み立てている暗喩かな  N

205 竹の春から立て付けのよき仕組み  S

206 蒼白く飛び立つ鶴を見送れり  N

207 日々くもるガラスは白に追いつけず  S

208 追いついて澄みゆく玉葱の時間  N

209 コロナ時も川はしづかにうつろひて  S

210 静粛にぺダンチックに葉巻する  N

211 どこまでも漫画チックに鳥威し  S

212 疑問符でゼロになりたい七面鳥  N

213 ドタキャンになりたる釣瓶落としかな  S

214 落葉して溺れる夢の藁ひとつ  N

215 集まれば藁塚となる日和かな  S

216 いま言った和音のかたちパウロ2世  N

217 言語その行きかえりして紅葉づれり  S

218 断食の刻一刻と帰る波  N

219 つぎつぎと波押し寄せる昼寝覚  S

220 北窓の覚醒グレタガルボかな  N

221 どの窓も磁場の話しを聞いている  S

222 龍頭巻く巻いて東方見聞録  N

223 竜胆にうす紫の行方かな  S

224 木葉木菟ねばる水辺を方便に  N

225 便箋に追伸のごと秋の蝶  S

226 ことごとく東へむかう水の鈍痛  N

227 朝顔に水をやる子が咲いてゐる  S

228 もつれあう猪鹿蝶に朝が来る  N

229 夏の蝶きりりと螺子を巻きにけり  S

230 巻き寿司やひたひたと豊後水道  N

231 マクドしてひたすら午後を司る  S

232 午後3時三隣亡のその調子  N

233 パンのやう午睡のやうにフランス語  S

234 牡蠣の海いつかの語尾の香りして  N

235 香水の空瓶となるモンロー忌  S

236 空腹の君は夜通し助動詞で  N

237 冷房や青き尾を曳き人動く  S

238 説教を風が盗んで青すすき  N

239 鳥葬の国は色なき風の中  S

240 じりじりと国旗は似たりよったりで  N

241 雉子歩む国鳥ですといふやうに  S

242 環境は鳥の声で計るらしい  N

243 日時計に帰る約束してしまふ  S

244 秒針がなくて明日が暗くなる  N

245 暗くした方がいいからカンナになる  S

246 土砂降りで唐変木な鉋かな  N

247 アラビアのロレンスといふ熱砂かな  S

248  SORA抱いている熱気球の夜だもの  N

249 ときどきへ夜遊びをする薬指  S

250 KIGO・KIGOUぽつんと吟遊詩人かな  N

251 ツンデレの秋田小町となりにけり  S

252 おとなりの不在は奥の細道で  N

253 その道を越したる後の祭りかな  S

254 着信のあとさき蜻蛉日記かな  N

255 新聞をくしやくしやにして海に出る  S

256 野の風にショパンの椅子を聞いている  N

257 黄昏が罠を仕掛ける花野かな  S

258 時差のように花のように猫がいる  N

259 秋燕見上げる駅の時刻表  S

260 さか上がり言語は思想を具象する  N

261 Sodasoda 相思から飛び込めり  S

262 水を研ぐ未確認飛行物体  N

263 勿体ない勿体ないと藪からし  S

264 ナイトにはなれない君の日記帳  N

265 どうしても君子は蚊帳の外にゐる  S

266 クリムトの夜の帳を訝しむ  N

267 紅葉且つ散る言の葉が牙を剥く  S

268 はじまりの歌がはじまる散歩道  N

269 森が歩いていたころの火が恋し  S

270 森君のオルゴールには椋鳥が  N

271 箱入りのこいまり箱入りのとりかぶと  S

272 テトリスに告ぐ私は匣である  N

273 JKはSNSの筥の中  S

274 漆黒にねむる中尊寺金色堂  N

275 魔女が鍋煮る金秋の森深く  S

276 くちもとが覚束なくて深くする  N

277 もともとは海の色だが爪に塗る  S

278 あんなにも瀬戸内海でいたためし  N

279 イタ飯にいたたまれなく秋の歌  S

280 輪になって液体となる秋葉原  N

281 うす紅葉流れが早くなるところ  S

282 枯葉散るビル・エヴァンスの指先へ  N

283 黄昏を垂らしてビルが立つてゐる  S

284 賑わいや神話の隅に黄金虫  N

285 御器齧隅からこんな真ん中に  S

286 仏像の後から中から清海波  N

287 時間から鯨が跳ねて電車かな  S

288 さかな跳ね月のかたちを変えるのね  N

289 ゴッホから聞く向日葵の変身譚  S

290 向き不向きながら植物筋肉で  N

291 聞きながら話の種を蒔いてゐる  S

292 草本の話ついでにプロポーズ  N

293 ひつそりはどこにでもある草の花  S

294 花柄の河馬で汗をかいている  N

295 人柄で言葉の絵の具絞りだす  S

296 浮世絵に境目がある Coca-Cora   N

297 国境に置き忘れたる檸檬かな  S

298 正確なシンメトリーを国語する  N

299 明けぬ夜の窓より遠野物語  S

300 遠近がなくて豆腐は MOMENかな  N

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