後記 ◆ 村田 篠
長く俳句をやっていると、過去につくったことをすっかり忘れてしまい、ほぼ同じ句をまたつくって句会に出してしまうことがままありますが、先日、それをやってしまいました。ある俳人に指摘されたのですが、自分の句を忘れている恥ずかしさと、拙句を覚えていて下さったありがたさがないまぜになり、いろんな心持ちでぱんぱんに膨らんで帰宅しました。
翻って思い出してみると、句会で出会い、結局一度も活字にならずに読者たる自分の中に残り続けている句は、いくつかあります。そういう句は、句座の空気とともに心に刻まれるので、案外忘れないのです。句会、句座というものの持つ「磁力」のようなもの、その不思議を感じます。
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それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。
■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1960年生まれ。「炎環」「豆の木」2013年週俳eブックス「日曜のサンデー」2018年 第四回攝津幸彦記念賞・優秀賞受賞。2019年 第0句集「祝日たちのために(港の人)」山岸由佳とのコラボレーションによるwebサイト「とれもろ」
■西原天気 さいばら・てんき
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