2023-06-25

小笠原鳥類 恐竜が鳥になってカモメに(ハト)

恐竜が鳥になってカモメに(ハト)

小笠原鳥類


松下カロ『白鳥句集』(深夜叢書社、2016)から。数字はページ(漢字の表記を一部変更)

「やがて滅ぶ 鳩 人 きりん 大白鳥」12

チョウザメ、恐竜と粘土(と星)とシーラカンス、すし

「牛乳を匙で掬へば白鳥生れ」14

金魚を見て、見ながら、豆腐が喋る。そこにシャチ

「白鳥を追い越してゆく鳩時計」27

ワニが、ペンギンだろうクチバシ。まるい菓子(と箱)とクラリネット

「白鳥が見てゐる赤いベレー帽」42

イカを、パンを食べながら紫色のイソギンチャクが、知る紫

「白鳥はうごく步道に乘つて來る」44

緑色のものを、横のひろがっている明るい窓のようなものから見ていたピラニア(と、肺魚)

「シーラカンスも白鳥も人見知り」58

タラがサカサナマズを、いつでも縦になって見る銀色。かもめ

「白鳥をときどき想ふ雪男」63

ピアノがコンニャクとアコーディオンである部屋のフクロウ。セミ

「白鳥は新刊本の匂ひする」74

小屋があれば回転するケーキ。組み立てるアイスクリームの椀

「白鳥は眞直ぐパンの耳へ來る」82

スプーンが、それから、ソーダであるザラザラのテーブル。木、きのこ

「いつまでも白鳥仰ぐチェロ奏者」84

醤油の思い出と、魚。昆布が重なっている

「無数の白鳥が天井を飛びかっていたこともありました。」99(「あとがき」)

虫であるセミだと思っていると、キツツキ(そして――そして――むくどり)

「白鳥もどんなに喜んでいることでしょう。」99(「あとがき」)

はじめて(液体の)サメを、音楽映画で見たウミネコ

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