2023-07-16

瀬戸優理子〔今週号の表紙〕第847号 行灯

〔今週号の表紙〕第847号 行灯

瀬戸優理子


北海道は、7月が高校の学校祭シーズン。

この春、次男が入学した札幌の公立高校では、前夜祭と称し各学級が製作した行灯を引っ張りつつ市中を練り歩くという伝統行事がある。

「行灯」と最初に聞いて思い浮かべたのは、手で持てる大きさの照明器具。しかし、どうやら北海道の何校かの高校生が学祭でつくる「行灯」は、「ねぶた」のような山車灯籠を指すらしい。とりわけ、次男の通う高校は約1カ月という製作期間をかけて、校庭に各クラスがテントを張って作業場をつくり本格的な行灯を製作するという、とんでもない規模であることが判明。

素人集団の1年生が、果たしてお披露目できるようなものを完成させられるのか?

ドキドキしながら見に行った本番の夜。

コロナ禍でここ3年は公道に出ていなかった行灯が久々に街中に出るということで、行列コースにあたる沿道は、出発予定の19時を前にあちこち人だかりができ賑わいを増す。

「わっしょいわっしょい」の元気な掛け声と共に現れた行灯は想像以上に立派なもので、「素人でもここまで出来るんだ!」と感動。弾ける高校生の笑顔に、当たり前の夏が戻って来た高揚感も漂う。

初体験の1年生は単体モチーフだが、ベテラン3年生になると写真のように複数体のモチーフを組み合わせて見ごたえのあるものまで創ってしまう。始まったばかりの「行灯職人」への道。これは来年、再来年も楽しみだ。



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