【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
キング・クリムゾン「Starless」
天気●メロトロンという楽器、むかしレコードのクレジットなんかで目にしたことがある楽器。シンセサイザー以前の、今でいえば「サンプラー」。磁気テープを使ったアナログ方式の鍵盤楽器で、その機構がよくわかる動画があったので、見てみましょう。
天気●まあ、なんともレトロな、「機械」を感じさせる、デザイン抜群の楽器です。アメリカのホームドラマに出てくる家電の趣きもありますが、それもそのはず、この楽器、発売が1962年ですから、時代がちょうど重なる。
憲武●メロトロンという名前がいいですよね。レトロ・フューチャーな響きもあります。手塚治虫のマンガのタイトルっぽい感じもある。
天気●蓋をあけて、テープの動きも見せてくれていますから、なかなか貴重な映像です。へえ、こんなにメカニック(非エレクトロニック)な機構なんだ! と。ちなみに、このテープ部分を別の音源に総取っ替えする仕組みで、まさにサンプラーです。
憲武●画期的ですよね。当時としては。録音が出来ないところだけ惜しいって感じあります。
天気●こういう妖しげな音色なので、プログレでよく使われたんですかね? キング・クリムゾンのこの曲が、そうらしいです。とはいえ、アナログですから、ふがふが、ほかほか、弛緩した音色。ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の前奏にも使われているとのことです。
憲武●このポワポワした感じの音って、よく聴いてましたし、ライナーノーツなどでも、よく見かけた名前です。ストーンズ(本物の方の)の「2000光年の彼方に」とか、デヴィッド・ボウイ、イエスなどの曲にも使われてたと思います。
天気●むかしは、楽器も家電も美しかった、という話題です。
(最終回まで、あと676夜)
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