【解題】「後記」第295号
対中いずみ
前号の後記では、法隆寺近辺で菜の花を見、「菜の花の葉がとても明るい色だった」と書き、今号では吉川で「しみじみと牛の顔を見ました」と書いている。どこかおかしくて呑気である。青蛙さんの「私の読んだ本」は、前登志夫さんの『存在の秋』について書かれている。
295号では雑詠欄に6句が掲載されている。
寺の雨けふ手焙りのやや重た
春ショール三井寺へ道うねりをり
雨ながら田打に池の明りかな
茎立ちの雨隠れなる山ありぬ
春の泥乾きて藁の上にあり
弟は病院へ行き桃咲けり
(太字は第一句集『山信』に収められている。「寺の雨けふ手焙りのやや重た」は「やゝ重た」の表記。『山信』は墨の手書きであったのでその気息がにじんでいるかもしれない)
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