【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
レッド・ツェッペリン「Your Time Is Gonna Come」
天気●突然ですが、レッド・ツェッペリンの「Your Time Is Gonna Come」(1969)です。
天気●教会風のオルガンから始まって、これは50秒続く。悠長です。いい意味です。懐が深い。そこから曲のイントロが始まるので、この教会風の部分はイントロとも言えない。曲の前にくっついたオマケのかんじ。でも、この50秒あたりのイントロに移行する箇所がなんとも言えない期待感。
憲武●ギターソロ部分を早送りすると言う当世の若者気質からしたら、このオルガン部分も早送りされてしまうでしょう。ところで教会風オルガンから始まる曲、ロックで、って、ザ・バンドの「Chest Fever」がありますね。展開は似てる気がします。
天気●ゆったりとしたミディアムテンムポで、ドラム、ベース、アコースティックギターの伴奏に歌が乗る。
憲武●最初のジョン・ボーナムのドラムの音にドキリとします。
天気●2分10秒あたりから、クワイヤー(合唱)あるいはアンセム(応援歌)風のサビに入ります。
憲武●「きみの番が来た」っていう合唱なんですけど、ひどい仕打ちをする女性を振るという内容の歌詞で、「振られる番が来た」って合唱にアイロニカルなユーモアを感じます。
天気●アレンジはいたってシンプル。なのに、全体にゴージャスな音。これ、不思議です。
憲武●なんででしょうね。ゴージャス感あります。70年代のロックは少なからずそういう気配あります。
天気●味付けに2分50秒あたりからペダル・スティール・ギターが入るんですが、このバンドで、ペダル・スティール・ギターはめずらしいと思います。きっとバンドメンバー以外の専門家をレコーディングに呼んだんだろうなと、ちょっと調べてみると、ジミー・ページが弾いてる。なんとまあ、器用な。
憲武●ダブル・トラックでしたか。
天気●ジョン・ポール・ジョーンズがオルガンとベース弾いてる時点で、それはそうなんですが、それと、ひとつ。この曲、エレキ・ギターが入っていない。レッド・ツェッペリンといえば、ギターを前面にしたスリーピース・バンドというイメージですが、その意味で、ユニークな楽曲です。
憲武●この感じが3枚目の「Led Zeppelin Ⅲ」に繋がるんですかね。
天気●若い頃、ハードロックを忌避していたので、あまりちゃんとは聴いていなかったバンドですが、こういうキラキラした曲もあるんだなあ、と。それにまた、これがデビューアルバムの1曲だってことに驚きです。70年前後のロック音楽をもう一度いろいろと聴いてみるのもいいかもしれません。
(最終回まで、あと638夜)
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