2026-07-26

解題:近藤十四郎の二〇句・初期作品集 西原天気


西原天気


その句座は、いわゆる「俳壇」から遥か遠い場所、冥王星くらい遠い場所なりました。、近藤十四郎は(私の知るかぎり)俳人としてのキャリアのほぼすべてをそこで過ごしました。ナントカ協会やら俳句総合誌やらとは無縁のそうした句会はおそらく無数にあって、そこもそのひとつであったにすぎません。

かく言う私もそこで俳句との縁を得ました。思い出すに、素性の怪しい人たちが(もちろん私も含め)顔を並べ、素性の怪しい句が清記用紙に並んでいました。近藤十四郎の句も怪しさにおいてはなにものにも引けを取らず、今回謹んで選ばせてもらった20句のなかには、初読のときの驚きや愉快がきのうのことのようにあざやかな句がいくつもあります。

ところで、どこでものごとを始めるかは存外重要のようで、当時から、そしていまなお、野良の習性が抜けない野良俳人であるところの私が、私にも増してりっぱな野良俳人、近藤十四郎を、2026年の今になって紹介するというのは、別に感慨深くもなんともないのですが、単純に、自分が好きな句を誰にも何にも邪魔されずに並べてみせるという喜びはまず確実にあって、それともうひとつ、数年来、あるいはもっと以前から自分の中に抱き続けた計画をやっと実行できたという安堵があります。私の仕事は終わりました。あとは、読者諸氏の手の中にあります。

なお「初期作品集」と銘打ったのは、句群の発表年が1997年から2008年と、ずいぶん前なので。今のところ「後期作品集」謹撰の予定はありません。

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