2019-05-05

空へゆく階段 №11 解題 対中いずみ

空へゆく階段 №11 解題

対中いずみ


「俳句読者論」⑤である。「夜の形式」にも響いていく詩論だ。

この号が裕明編集最後の「青」で、後記には次の言葉がある。

 不思議なことにこのごろ懐かしいという感情が少しばかりわかるような気がしてきました。以前、高浜虚子の俳論を読んでいたときには、この言葉にぶつかると非常にひかれるものを感じましたが、自分が何にひかれているかもよくわかりませんでした。今もそれを言葉にして表現することはできそうにありませんけれども。
 四月一日から社会人一年生としての新しい生活がはじまり、なかなか落ちつきません。毎朝ネクタイを結ぶのが面倒だと思うくらいであとはまだ何もわからないうちに日が過ぎてゆきます。
 なさけない話ですが編集をつづけてゆくことが時間的にもむずかしくなって、先月号の編集がさいごの仕事でした。ふりかえれば、ほんとうに短い期間で、「青」を日本一の雑誌にするという願いの万分の一も自分でできなかったことが残念でなりません。ただ非常に良い勉強をさせてもらったと思っています。
 どうもありがとうございました。
同号では次の句を発表している。

  花高き椿にものの燃ゆる音

  菜の花をたくさん剪つて潮の香す

  灰を踏む春の墓参のみちすがら


田中裕明 雑詠鑑賞

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