【週俳12月の俳句を読む】
しあわせの青い鳥
小久保佳世子
かわせみが雪の景色の枝に待つ 福田若之
この句から原石鼎の《雪に来て見事な鳥の黙りをる》を思い出したのは、どちらも背景が雪で鳥が擬人化されているからでしょうか。石鼎句の鳥の名前は分かりませんが、かわせみだったかもしれません。石鼎句も掲句も鳥の静かな意志のようなものが感じられ、雪世界の凛とした空気が伝わってきます。
かわせみは夏の季語とされていますが、辺りが落葉した冬場のほうが出会いやすい気がします。雪後のかわせみを偶々見たことがあり、それは正に中村草田男の《はつきりと翡翠色にとびにけり》を再現した景色として印象に残っています。
ところで掲句の「待つ」ですが、餌を待っているともとれますが、或いはしあわせを求めて青い鳥を探す作者を待っているのかもしれません。遠いしあわせへの切実な希求を詠んだ同じ作者の《ヒヤシンスしあわせがどうしても要る》とセットで読むと枝で待つ青い鳥に作者はまだ出会っていない、そんな気がしてきます。
雪の景色は、いよいよ深い沈黙に包まれてゆくようです。
2020-01-19
【週俳12月の俳句を読む】しあわせの青い鳥 小久保佳世子
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