〔今週号の表紙〕
第713号 冬至
藤原暢子
ポルトガルの北東の山奥の村々には、ケルト由来とも言われる古い祭が残っている。その多くがクリスマス期間、12月24日から公現祭の1月6日の間に行われ、冬至に関係すると言われている。
村により多少やり方に違いはあるが、多くの村では仮面をつけ、毛むくじゃらの衣装を纏った青年たちが登場し、彼らは村の家を一軒一軒まわる、各家では自家製の腸詰に生ハム、ワインや、クリスマスのお菓子など、様々のご馳走を用意して彼らの訪問を待っている。
また、いくつかの祭では大きな火が焚かれる。大半の村では、大人の背丈を越すほど木片を山と積み上げる。今日では、クリスマスイブの24日、年越し、祭の当日など、主要な日にのみ燃やすようになっているが、昔はクリスマス週間の間、ずっと火を燃やし続けたと言われている。
この写真は、オウジリョン村の26日の祭(2017年撮影)。ここでは、珍しく藁で火を焚く。この年は雨だったが、炎は瞬時に激しく燃え上がった。この村では、今は青年だけに限らず、老若男女問わず仮面の仮装を楽しみ、にぎやかな祭を続けている。
もう一枚。下の写真は、センディン村の火。こちらは24日。村の一人の男から、かつてはここでも仮面が登場したらしいという話を耳にしたが、今日は、音楽以外に祭らしい騒ぎはない。人々は夜遅くまでこの火を囲み、豚の丸焼きに酒、そして会話を楽しんでいた。
冬至の頃、都会から離れた小さな村々で、長い夜を照らすように、人々をつなぐように、火が焚かれている。私はこの火が好きだ。今年はCovid-19の流行により、これらの祭も中止や変更を余儀なくされている。でも冬至の頃になれば、村の人々の心の中に、必ず今年も火が灯るだろう。
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