佐藤念腹読書会参加者5句選
生駒大祐選
豚の親春霜の藁くはへ居り
煉瓦工みな少年や春の風
少し降る雨あたゝかし珈琲畑
虚子門に無学第一灯取虫
耕や廿五年の切株と
岡田一実選
又丘の現れて月低くなる
顔のせて芭蕉葉食めり親子山羊
春の風耕馬を叱る口中へ
酔うて脱ぐ大きな靴や春灯
柿の影さして障子といふものぞ
小川楓子選
強東風のわが乗る船を見て来たり
土くれに蝋燭立てぬ草の露
豚の親春霜の藁くはへ居り
春の風耕馬を叱る口中へ
春雷や二人乗ったる馬に鞭
樫本由貴選
秋蚕飼うて俳書久しく借りにけり
雇ひたる異人も移民棉の秋
ブラジルは世界の田舎むかご飯
誤字多き移民の投句瓢骨忌
井戸掘つてゐるを見に来し新移民
木塚夏水選
印度洋
むらさきの流星垂れて消えにけり
雷や四方の樹海の子雷
少し降る雨あたゝかし珈琲畑
汲み終へし深井にもたれ春惜む
馬の脊の籠にあたりて燕来る
ぐりえぶらん選
雷や四方の樹海の子雷
雇ひたる異人も移民棉の秋
少し降る雨あたゝかし珈琲畑
墓参して和語を話さぬ移民の子
貰ひ水朝寝の窓に声かけず
黒岩徳将選
雷や四方の樹海の子雷
切株に木菟ゐて耕馬不機嫌な
日雇いと短き昼寝覚めにけり
信あれば文は短し秋灯下
蛇蜥蜴からみ搏つなり草の中
西生ゆかり選
雷や四方の樹海の子雷
湯浴みして今日の日焼の加はりぬ
切株に木菟ゐて耕馬不機嫌な
日焼子の日臭き頬よ頬擦りす
没収を免れし和書曝しけり
外山一機選
豚の群追ひ立て移民列車着く
誤字多き移民の投句瓢骨忌
虚子門に無学第一灯取虫
開拓のはてが籠編む夜なべとは
春夜行くポ語を知らねば聞ながし
中矢温選
森の雲なくなりしより朝寒し
花珈琲門入りてなほ馬に鞭
信あれば文は短し秋灯下
毛糸編んで昨日の如しベンチ人
老いてゆく夫に朝寝の妻若し
三世川浩司選
井鏡やかんばせゆがむ昼寝起
秋蚕飼うて俳書久しく借りにけり
野路夕立乙女に走り越されつゝ
枯野より犬這入り来ぬ汽車の中
馬の脊の籠にあたりて燕来る
ゆう鈴選
渡り鳥わが一生の野良仕事
霜害や起伏かなしき珈琲園
切株に木菟ゐて耕馬不機嫌な
雇ひたる異人も移民棉の秋
移民妻わらびを干して気品あり
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