2018-10-21

多摩川 西村麒麟✕福田若之 平井照敏編『現代の俳句』を語る 7/8 『現代の俳句』が漏らした作家・その4 今井つる女~長谷川かな女

多摩川 西村麒麟✕福田若之 平井照敏編『現代の俳句』を語る
7/8 『現代の俳句』が漏らした作家・その4 今井つる女~長谷川かな女



【言及作家・言及句】
雨しげくなりて金魚をかくしけり   今井つる女
虫売に人の流れの止まらず
鶯や日曜の朝と思ひつつ
初明り物の形の生れくる
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次の間へ歩きながらに浴衣ぬぐ    波多野爽波
いつきても門の落葉の同じほど
梅雨傘の魂抜けて倒れをり
梅雨はげし傘ぶるぶるとうち震ひ
落ちてゐる明智の森の古巣かな
お涅槃の蓋開いてゐる救急箱
赤と青闘つてゐる夕焼かな
いろいろな泳ぎ方してプールにひとり
金魚玉とり落しなば鋪道の花
鳥の巣に鳥が入つてゆくところ
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牛の眼が人を疑ふ露の中       福田甲子雄
磨かれし馬匂ふなり夏木立
いくたびか馬の目覚むる夏野かな
亡きひとの名を呼び捨てに冬河原
夏雲やビル壊しゐる鉄の玉
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羽子板の重きが嬉し突かで立つ    長谷川かな女
盥かかへて柿の烏を見てゐたり
鮟鱇や鼠小僧を泊めし家
竜胆を畳に人の如く置く
朝顔のべたべた咲ける九月かな
西鶴の女みな死ぬ夜の秋
四月馬鹿五右衛門風呂を空にして
会釈する冬の帽子に憶えなし
闇汁の蓋に乗りたる闇の小人
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