【週俳4月の俳句を読む】
学校よ健やかであれ
小久保佳世子
卒業や粉いつぱいのチョーク受け 姫子松一樹
そもそもチョークは、粉を棒状に固めたものであり使う度に棒は粉になってゆく。そんな事をこの句から改めて認識させられ、同時にこのデジタル時代に相変わらず教室ではチョークが使われていてやっかいな粉が舞っていることに軽く驚かされました。
多分、これからは授業風景もだんだん変わってゆくに違いないけれどチョークの粉を授かるように受けて学んだひとつの時代、それも終わってゆく。果たして作者は、粉のチョークに象徴される授業からの卒業にほっとしているのか否か?
母校燃やす煙よ凧と軋みつつ 横井来季
母校を燃やすとは穏やかならざる行為ですが、作者にとって母校は一度燃やさなければ大きく成長できないものだったのかもしれません。たとえ観念の世界であっても母校を燃やすことに痛みはあり、その心理を煙と凧が空中で軋む景として視覚化したのだと思います。高々と空をゆく凧はひとつの理想でしょうか。
奇しくも作品10句の冒頭のテーマはお二人とも学校。学校生活は遥か忘却のかなたにあり現状にすっかり疎くなっていたのですが、未来を育む学校よ健やかであれと願っている私がいました。
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