2022-02-13

【週俳11月・12月・1月の俳句を読む】手を止めて 浅川芳直

【週俳11月・12月・1月の俳句を読む】
手を止めて

浅川芳直



少女来て少年の去る龍の玉  田邉大学

龍の玉のころころと弾む様子が際立って想像される。少年の気恥ずかしさによってその場に残された龍の玉。そして、去ってゆく少年の背中を楽しんでいるかのような動きで転がってゆく。

少女は龍の玉を拾うだろうか。想像の奥行を楽しませていただいた。


冬の日を集め眉間を燃え立たす  大室ゆらぎ

十句まとめて読むといろいろ鑑賞も可能だが、筆者は身体感覚の一句と読む。青筋を立てた眉間に、太陽の熱さか、血潮の熱さか、混然となってどくどくという流れが体を巡ってゆく。冬日の観念の塗り絵ではない赫々たる冬日を新しく思った。


極月の鳶のことさらきれいな輪  岡田由季

「極月」に対して「ことさら」と言うと賛否があるかもしれないが、筆者はこの直截な言い回しが好ましく思う。空気も澄み切っているのであろう。師走の多忙の中にあって心を晴らしてくれる鳶の輪だと思う。デスクワークの手を止めて空を見上げたくなる一句であった。


第761号 2021年11月21日 花島照子 フェルマータ 10句 ≫読む

第764号 2021年12月12日 田邉大学 優しい人 10句  ≫読む 

第765号 2021年12月19日 岡田由季 宴 10句 ≫読む

第769号 2022年1月16日 佐藤智子 背はピンク 10句 ≫読む 

第770号 2022年1月23日 大室ゆらぎ 霜 10句 ≫読む 

第771号 2022年1月30日 野崎海芋 三連符 10句 ≫読む 



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