2025-12-28

西原天気【2025年週俳のオススメ記事 7-9月】猛暑から秋寂へ

【2025年週俳のオススメ記事 7-9月】

猛暑から秋寂へ

西原天気


7月6日は東京の曇り空を除いて全国的に晴れ。三重県桑名では38.3℃と猛暑が続きました。第950号には、鈴木茂雄さんの句集評〈新たな地平 野間幸恵句集『ON THE TABLE』〉(≫読む)。このあと、同じ書き手による【野間幸恵の一句】シリーズへと続きました。

岸田祐子さんのシリーズ〔ビール俳句〕も継続(≫読む)。 【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】も猛暑を意識した選曲でした(≫読む

第951号には小笠原鳥類さんの〈「北の文学」について〉(≫読む)。

第954号には、細川洋子さんの〈夜の秋 10句〉(≫読む)と上田信治さん〈成分表96 脱ぎかけ〉(≫読む)。
靴下の脱ぎかけは「着ている」から「着ていない」という移行の状態の一時的な宙吊りであり、その感覚の「引き延ばし」でもある。(上田信治)
下着脱着の詩学とも言うべき書きぶり。〈成分表〉の転載は第959号にも。〈成分表97 エロさ〉(≫読む

第960号には小笠原鳥類さん〈俳句の人が詩の人〉(≫読む)。高橋修宏詩集『水の中の羊』(草子舎、2004)を取り上げて独特のレビュー。

第962号には西原天気〈『音数で引く俳句歳時記』活用句会・顚末記〉(≫読む)。仙台に招かれて催した句会の顚末を『What's』第8号(2025年5月)より転載。
意味は、ない、に越したことはない。はたまた、書いてもいない意味を追いかけても退屈。とはいえ、川柳にせよ俳句にせよ、ことばである以上、どうしたって意味は付いてきますから、非=意味、反=意味、無=意味は、なかなか実現しない夢想に過ぎない。にしても、希求はしていたい。そこで、音数です。

記事数は依然と比べてずいぶんと少なくなりました。週刊俳句もいわゆるフェイドアウトを考える時期に来ているのかもしれないと、運営者の一人として思わないわけではないけれど、当初から「続けること・続くこと」が念頭。であれば、こちらからなんらかの終わりを想定する必要もない。自然界で言う「絶滅」を、それこそ自然に待つ、というのも悪くない。

いずれにせよ、今年もお世話になりました。世の中、悪い方向にばかり向かっている気が、個人的にはしますが、来年も、よろしくお願い申し上げます。

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