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2026-06-07

『なるほど』中矢温さんへの「10の質問」〔俳誌の中の人に訊く〕

〔俳誌の中の人に訊く〕
中矢温さんへの「10の質問」


Q1 関わっていらっしゃる俳誌の名前と概要、そしてご自分の役割を教えてください。

俳誌の名前:俳句個人誌『なるほど』

概要:中矢温が2025年11月に創刊した俳句の個人誌です。素敵な招待作品と「俳句を遊ぶ」企画たちから構成されています。
役割:編集発行人です。

Q2 『なるほど』の特徴・アピールポイントを教えてください。

素敵な俳人が寄稿・参加してくださっています。

元ネタがあるものも多いですが、面白い企画があると思います。「三鬼賞本気ハッ句」(創刊号・第二号)、「詠み人知らず」(創刊号)、「ドラフト俳句」(第二号)、「俳句人狼」(第二号)……etc。それぞれの企画を通じて、俳句にどう働きかけたいのかについて、創刊号・第二号は読者に委ねてしまっていたのですが、これからは誌面でもう少し丁寧に説明しようと思っています。たとえば第二号の「ドラフト俳句」は、五十音表からプレイヤーが使用できる音を一つずつ取り合っていき、最後には手持ちの音だけで一句を作るというゲームです。季語からでも情景からでもない音から作る句作方法を提案しようとしています。

文学フリマ東京のほか、BOOTHというインターネット通販でも購入いただけます。

Q3 『なるほど』を発行/維持していくうえで、苦労することを教えてください。

同人誌が飽和状態の現代において、皆が忙しい現代において、買って読んでもらうのは大変なこと。(読者としての自分も痛感していることです。)

Q4 『なるほど』をつくっていくうえで、だいじにしていること・たいせつに思っていることを教えてください。

私がちゃんと楽しいこと。寄稿者・参加者・読者にも楽しい時間を過ごしてもらうこと。

Q5 『なるほど』を動物に譬えてください。その理由を教えてください(理由がなければ、言いたくなければ無回答でかまいません)

元気なイノシシ(まっすぐな気合で刊行されているから。)

Q6 ご自分のことに質問が移ります。理想的な休日の過ごし方を教えてください。

朝ゆっくり起きて、溜まった洗濯物を回して、散らかった部屋を片付けながら珈琲(牛乳多め)を飲む。

Q7 現在お住まいの町は、どんなところですか?

二路線の電車が走っていて、ひととおりチェーン店が揃っていて、良い個人経営のお店も多く、大きな図書館もあって良いところです。健康そうな野良猫がそこら辺を歩いています。

Q8 好きな自然現象について、教えてください。

笑っちゃうくらいの快晴で、でも程よく涼しい。あと自然現象か分かりませんが、「時差」という概念が不思議すぎて好きです。

Q9 10年後、『なるほど』はどうなっていると思いますか。「こうなっていたい」という野望・願望でもかまいせん。

記念すべき第十号を発刊し終わっていると思います。第十号までに友だちを粗方誌面に呼べていたら嬉しいです。同時に友だちも増えていると思うので、刊行が間に合っていないかもしれません。

「なるほど」を場として、これからも私が会いたい人とコミュニケーションを取れたらと思います。

俳句の場での雑談等でちょくちょく気軽に言及してもらえる雑誌になっていたら嬉しいです。

俳句以外の詩型フォロワーの方にも、日本語以外の作者/読者にもアプローチできる号を出したいです。

十年以内には第一句集を無事刊行し、「なるほど」でもセルフ特集をできていたら嬉しいです。

Q10 最後に、ご自分の最近作を5句教えてください。ベスト・オヴでも、単に直近の5句でも、どちらでもかまいません。

刷りあがった『なるほど』第二号を持って、お出かけしました。

ボンジュール口が喜ぶから話す
花は葉になるガソスタにドーナツ屋
躑躅満開ご覧なるほど第二号
屋上から屋上見えてまた別の
哲学に強い言語でうんと言う


『なるほど』誌への問い合わせ先 eureka575fumufumu@gmail.com
オンライン購入先 https://nakaya575.booth.pm/



『九重』佐藤りえさんへの「10の質問」〔俳誌の中の人に訊く〕

〔俳誌の中の人に訊く〕
佐藤りえさんへの「10の質問」


Q1 関わっていらっしゃる俳誌の名前と概要、そしてご自分の役割を教えてください。

『九重(ここのえ)』。個人誌です。俳句、短歌、エッセイ、セリフのない漫画、評論などが書かれています。おもな役割は執筆者・デザイナー・イラストレーター・編集者・発行者。

Q2 『九重』の特徴・アピールポイントを教えてください。

書きたいものを書きたい時に書き、書いて欲しいヒトにゲストをお願いして作る本です。厚かったり薄かったりします。成分も号ごとに変わります。

Q3 『九重』を発行/維持していくうえで、苦労することを教えてください。

長文のための資料を読む時間の確保と、ページ合わせのために長文を刈り込むのにいつも苦悶しています。

Q4 『九重』をつくっていくうえで、だいじにしていること・たいせつに思っていることを教えてください。

作りたいものを作る。外的な目的に目を奪われないようにする。無理をしない。

Q5 『九重』を動物に譬えてください。その理由を教えてください(理由がなければ、言いたくなければ無回答でかまいません)

近くの公園にカワセミが時々来ます。めったに見られない、というほど稀少な鳥ではないけれど、そうだ、見に行こうと思って足を運びます。遭遇できないことも多いですが会えるとちょっとうれしい。そのために出かけるのも楽しい。そんな感じでしょうか。

Q6 ご自分のことに質問が移ります。理想的な休日の過ごし方を教えてください。

二時間ぐらいの娯楽映画を観た後、ダベりながらスパゲティなどを食す。デザートはプリン。

Q7 現在お住まいの町は、どんなところですか?

まあまあのどかであっちい小さな町です。関東平野がこんなにじめじめしているとは思いませんでした。

Q8 好きな自然現象について、教えてください。

雨と雪全般。

Q9 10年後、『九重』はどうなっていると思いますか。「こうなっていたい」という野望・願望でもかまいせん。

今より小さく薄くなりつつ、細々と続いていたらいいなと思います。

Q10 最後に、ご自分の最近作を5句教えてください。ベスト・オヴでも、単に直近の5句でも、どちらでもかまいません。

  はこべらがはびこるはこびはこぶねに
  花疲れ好きなブローチからはづす
  別荘に雨漉してゐるハンモック
  楽しかつた日 西日に駅のドアひかる
  夢の書に砂冠の蔵書印
   (第二句集『兎森縁起』より)

『九重』問い合わせ先 info@poppen-do.net
オンライン購入先 https://poppen-do.booth.pm/


『ねじまわし』生駒大祐さんへの「10の質問」〔俳誌の中の人に訊く〕

〔俳誌の中の人に訊く〕
生駒大祐さんへの「10の質問」


Q1 関わっていらっしゃる俳誌の名前と概要、そしてご自分の役割を教えてください。

大塚凱さんと二人で『ねじまわし』という同人誌を作っています。ゲストをお呼びしつつ俳句を中心に企画・評論・座談会や作品を毎号異なる特集を設けて制作しています。役割としては共同発行人としてほとんど全ての記事を大塚さんと分担しながら作っています。

Q2 『ねじまわし』の特徴・アピールポイントを教えてください。

Q1にも少し書きましたがゲストを毎号その特集内容に合わせてお呼びしており、執筆者が毎号異なるため読んでいて飽きにくいのではないか、と思っています。ちょっとした仕掛けのある企画を実施することも多く、読者として”油断ならない”誌面になっているのではないかと思います。ちなみに個人的にかなり面白かった企画である第9号の「時間のかかる俳句」は週刊俳句に転載していただきました(https://weekly-haiku.blogspot.com/2026/02/blog-post_562.html)。未読の方はぜひご一読ください。

Q3 『ねじまわし』を発行/維持していくうえで、苦労することを教えてください。

若干メタ的な回答になりますが、発行にまつわる労力を共同発行人双方で公平にすることが今後苦労すべき課題だと思っています。不公平感があると長く続けられないので……。今は大塚さんの負荷が大きくなっていると思います。

Q4 『ねじまわし』をつくっていくうえで、だいじにしていること・たいせつに思っていることを教えてください。

俳句の作風におけるフロンティアとは異なる話として、俳句にまつわる企画の方向性やテーマはまだまだ未開拓の余地があると考えています。既にある議論のネタをこう掘り下げたら面白くなるんじゃないかとか、新しくトピックスになっている事柄をこう論じてみようとか、二人でアイデアを出し合っています。

Q5 『ねじまわし』を動物に譬えてください。その理由を教えてください(理由がなければ、言いたくなければ無回答でかまいません)

……すみません、何日か考えたのですがよい譬えが思いつきませんでした。僕が動物ごとにあまり固まったイメージを持てないのが原因だと思います。

Q6 数日間ものあいだ頭を悩ませてしまい、恐縮です。ご自分のことに質問が移ります。理想的な休日の過ごし方を教えてください。

朝起きてコーヒーを飲んで家を出て、一人で電車に乗って都会に出て午前中は散歩したり遊んだりし、昼ご飯を食べます。午後は書店に寄って本を買い、喫茶店でその本を読んだり俳句を作ったりして過ごし、夕方には家族への簡単なお土産を買って家に帰ります。年に二日くらいはそういう日があるとリラックスできますね。

Q7 現在お住まいの町は、どんなところですか?

神奈川県のThe 郊外、という感じのところです。幹線道路沿いに街が発達しており、山と海のどちらにも少し車に乗れば行けるという意味では良いところかも、と思います。答えてみて思いましたが僕の出身地である三重県とそういう意味では似ているかもしれません。

Q8 好きな自然現象について、教えてください。

北海道旭川のプラタナス並木の落葉が好きです。学生時代よく行っては落葉を踏んで歩きました。堀込高樹の「冬来たりなば」という歌を毎回思い出していましたね。純然たる自然現象としてそれが好きかと言われると少し意味が違うかもしれませんが……。

Q9 10年後、『ねじまわし』はどうなっていると思いますか。「こうなっていたい」という野望・願望でもかまいせん。

同人誌なので二人のどちらかが「やめようか」と思った瞬間に終わるんですよね……。ちょっと僕は最近落ち込んで俳句アンテナの感度が下がったりしていたので、新しくて面白いと思える雑誌を10年後も作り続けていられたらシンプルに幸せなことだと思います。

Q10 最後に、ご自分の最近作を5句教えてください。ベスト・オヴでも、単に直近の5句でも、どちらでもかまいません。

夏フエスも久々なれば拝みけり
口つけし水ぶちまけぬ日雷
氷水踏みしだかれて地となりぬ
遠く歌声大蒜根元切り落とす
待てば経つ百年だかや薄衣


『ねじまわし』誌・問い合わせ先 819neji@gmail.com
オンライン購入先 https://819neji.booth.pm



『ASYL(アジール)』五十嵐秀彦さんへの「10の質問」〔俳誌の中の人に訊く〕

〔俳誌の中の人に訊く〕
五十嵐秀彦さんへの「10の質問」


Q1 関わっていらっしゃる俳誌の名前と概要、そしてご自分の役割を教えてください。

同人誌『ASYL(アジール)』。2022年4月創刊。季刊(事実上不定期刊)。代表〔*〕

Q2 『ASYL』の特徴・アピールポイントを教えてください。

貧乏くさいところ。同人それぞれが孤心を求めているところ。様々なスタイルの俳句が読める。

Q3 『ASYL』を発行/維持していくうえで、苦労することを教えてください

季刊と言いながら一度も季刊の周期を守れていない。編集担当者の組版の作業負荷が大きすぎる。

Q4 『ASYL』をつくっていくうえで、だいじにしていること・たいせつに思っているこ
とを教えてください。

自分の俳句なんて誰も読んでいやしないということを、しみじみ感じること。それでも作ろうと思うこと。

Q5 『ASYL』を動物に譬えてください。その理由を教えてください(理由がなければ、言いたくなければ無回答でかまいません)

熊。表紙絵でもありますが、群を作らず、それでいて臆病なところ。

Q6 ご自分のことに質問が移ります。理想的な休日の過ごし方を教えてください。

俳句を忘れて一日中へたなギターを弾いていたい。(一度もやれてない…)

Q7 現在お住まいの町は、どんなところですか?

札幌。田舎のくせに、ファッショナブルなつもりでいる滑稽な町です。ジンギスカンは美味い。

Q8 好きな自然現象について、教えてください。

猛吹雪(好きというのとは違いますが、お手軽に臨死体験ができる)。

Q9 10年後、『ASYL』はどうなっていると思いますか。「こうなっていたい」という野
望・願望でもかまいせん。

無くなっていればいいと思います。

Q10 最後に、ご自分の最近作を5句教えてください。ベスト・オヴでも、単に直近の5句でも、どちらでもかまいません。

限りなき蟻その一匹が爆ぜる
これ千疋屋なんて言ふなよ檸檬
鮭遡上カンタータまたカンタータ
母語哀し冬太白を振り仰ぎ
唇(くち)に雪煉獄の味すこしして

同人誌『ASYL(アジール)』問い合わせ先 haishi.asyl@gmail.com

〔*〕同人(2026年5月末現在)
田島ハル 中川みどり 中村洒洒 Fよしと 土井探花 近藤由香子 村瀬ふみや 青山酔鳴 松山りさ ただすみれ 鈴木牛後 村上海斗 竹内克也 島崎寛永 五十嵐秀彦



『天秤』木内縉太さんへの「10の質問」〔俳誌の中の人に訊く〕

〔俳誌の中の人に訊く〕
木内縉太さんへの「10の質問」


Q1 関わっていらっしゃる俳誌の名前と概要、そしてご自分の役割を教えてください。

俳句同人リブラで『天秤』という雑誌を発行しています。現在のところ第三号まで出ています。年一冊発行。文フリでの販売のほか、一部の号はネットショップでも販売しています。
ぼくは主に編集作業のとりまとめをしています。

Q2 『天秤』の特徴・アピールポイントを教えてください。

同人はみんなそれぞれ作風が大きく異なります。でも、だからこそ柔軟でヴァリエーションにとんだ雑誌づくりができているような気がしています。

Q3 『天秤』を発行/維持していくうえで、苦労することを教えてください。

じぶんたちで決めた締切をみんななかなか守らないのです。

Q4 『天秤』をつくっていくうえで、だいじにしていること・たいせつに思っていることを教えてください。

同人それぞれの共通するところ、あるいは違うところをどう昇華してゆくか、ということでしょうか。

分かりあえる、というのは聞こえばかりがいい空虚なことばのように思います。とはいっても、分かりあえない、というのは別の意味での空虚でしょう。リブラはそのふたつのあいだを漂いながら、すこしずつ進んでゆきたいと思っています。

Q5 『天秤』を動物に譬えてください。その理由を教えてください(理由がなければ、言いたくなければ無回答でかまいません)。

梟。

以前、『俳句四季』の「わたしの歳時記」にリブラをとりあげていただいたとき、みんなで話しあってリブラらしい季語としてえらんだのが梟でした。なんで梟がリブラらしいと思ったんだっけ。

Q6 ご自分のことに質問が移ります。理想的な休日の過ごし方を教えてください。

海を見にゆく。

いつもこころのどこかで海を見たいと思っています。海のちかくで生まれ育ったからなのでしょう。東京に住んでいるとなかなか海を見る機会はないですね。

Q7 現在お住まいの町は、どんなところですか?

東京の駒込に住んでいます。

都会のなかのいなかといったふうな趣きです。家のうらてには子規の墓があります。

駒込にお越しのさいはぜひお声がけください。おいしいお店もすこしは知っています。

Q8 好きな自然現象について、教えてください。

雪。

雪のめずらしい温暖な地域で育ったので、雪が降ると今でもこころおどります。

Q9 10年後、その俳誌はどうなっていると思いますか。「こうなっていたい」という野望・願望でもかまいせん。

考えたこともなかったです。

同人みんな仲よくしてるといいな。

Q10 最後に、ご自分の最近作を5句教えてください。ベスト・オヴでも、単に直近の5句でも、どちらでもかまいません。

汝が唇を梅の花にもなぞらへて
ボルゾイを連れ麻服の姉いもと
君し思ほゆ通草の実啜るときも
木の葉なべて天の書物のページならむ
しろたへの雪のにほひの手紙来ぬ


『天秤』誌への問い合わせ先 libra.haiku@gmail.com



『俳句雑誌noi』後藤麻衣子さんへの「10の質問」〔俳誌の中の人に訊く〕

〔俳誌の中の人に訊く〕
後藤麻衣子さんへの「10の質問」


Q1 関わっていらっしゃる俳誌の名前と概要、そしてご自分の役割を教えてください。

『俳句雑誌noi』は「未知でありながら懐かしい 新鮮な普遍性を求めて」をテーマに、神野紗希・野口る理が2025年5月に創刊した月刊の俳句雑誌です。

全体のページ数は、平均80ページほど。誌友の投句作品が30ページ前後で、それ以外は特集や連載、句評などの読みものが占めています。

創刊一年間の特集を振り返ると、作家特集「宇多喜代子」、対談・座談「口語俳句の育て方」「ウクライナ俳句交換日記」「俳句雑誌のつくりかた」、テーマを設けた「連作と一回性」「主題と主体」「ただごとと祈り」「口語俳句の沃野」などさまざま。「今読みたい俳人」「新刊芯読」といった企画も不定期で組んでいます。

私はチーフエディターとして、主に編集・デザイン、制作進行管理を担当しています。
この「チーフエディター」は編集長のような意味ですが、フラットな野のようなnoiにおいて、編集長の「長」という一字がどうしてもしっくりこなくて(私自身が)、結果こう呼んでもらうことにしました。

紗希さん・る理さんは「代表」であり「選句担当」、そして投句者&購読者を会員ではなく「誌友」と呼ぶなど、自分たちの在り方に近い言葉を探りつつ、活動を重ねています。

Q2 『俳句雑誌noi』の特徴・アピールポイントを教えてください。

noiは、結社誌でも同人誌でもない「俳句雑誌」です。

誌面や句会などを通して俳句観を共有しつつ、作家それぞれの俳句を追求することを目指しています。

毎号組んでいる特集に加えて、時評や作品鑑賞、句集評、テーマを設けた連載企画、リレー連載など、読みものも充実しています。

誌友による投句作品は、雑詠7句の「野惟集」(選句担当:神野紗希)と、年間テーマ作品の「野風抄」(選句担当:野口る理)の二種。年間テーマは、2026年は「連作」3句、2025年は「口語」でした。その号で一番推したい七句を、表紙に掲載しています。

誌友への頒布は、雑誌の郵送はもちろん、PDFデータでも配布。バックナンバーは誰でも気軽に一冊から、オンラインストアで購入できるのも特徴のひとつです。

また、誌面に掲載された俳句作品の「一句鑑賞」を、誌友から投稿フォームで集めています。寄せられた鑑賞文は本誌で紹介するほか、SNS(X)でも毎日投稿しています。
noiの中で誌友同士の句を鑑賞し合ういい循環が生まれつつ、noiの外にも放たれ読まれていくことも、紗希さん・る理さんがnoiでやりたかったことのひとつ。これからも続いていくといいなと思っています。

Q3 『俳句雑誌noi』を発行/維持していくうえで、苦労することを教えてください。

noiは月刊誌ですが、専任の編集者はいません。

専任者のいない編集部で毎号特集を組みつつ、確実に発行するために、常時3号分ほど並行して進行しています。休む暇のない編集業務をこなし、そもそも「毎月発行する」ことが、一番の苦労ポイントかもしれません。

それでも、「毎月必ず発行すること」は、月刊誌制作における最優先事項。当たり前のことですがこれが本当に難しくて、でも一番大切なことだと思っています。

ただ、紗希さん・る理さんの選句原稿をはじめ、連載や特集の執筆陣のみなさんが締切までに素晴らしい原稿を揃えてくれること、有志の校正メンバーがプロ並みの校正で雑誌の正確さを下支えしてくれること、編集部の北野小町さんが魔法のような選句システムや校正システムを組んで効率化を図ってくれること、そして誌友の皆さんがフォーム投句などデジタル化に協力してくださることなど、すべての書き手のおかげで効率化・仕組み化ができ、創刊の一年間は毎月の発行が叶いました。

これを継続しながら、さらに新しいことにチャレンジしていくのが二年目の目標です。

Q4 『俳句雑誌noi』をつくっていくうえで、だいじにしていること・たいせつに思っていることを教えてください。

紗希さん・る理さんとしては、noiを「雑誌をつくること、読むこと、考えることを実践的にやれる場にしたい」という思いが根底にあります。

特集の企画を進めるのは、代表の二人。発行月の3〜4ヶ月前から企画に取り掛かり、寄稿者の選定にもたっぷり時間をかけています。

「書き手を選ぶ」こと、さらにその先の夢でもある「書き手を育てる」ことにも深く心を寄せている二人。単に誌面の完成度を上げたい、という表面的な話ではなく、「作家として書きたいこと、大切にしていることを書ける“場”でありたい」と願う二人の誠実な姿勢が、ひしひしと伝わってきます。

どうしても効率優先で機械的になりがちな月刊誌編集において、この誠実さこそがnoiの魅力を生み出しているのだと思います。実際に、これまで寄せられた数々の素晴らしい文章に、そしてその文章が束ねられた特集に、私自身いつも深く感動しています。

そんな、二人が大切にしていることをより多くの人に届けられるよう、私は編集・デザイン面でのさらなる充実を目指しています。

手に取りたくなるような表紙デザインや読みやすく魅力的な誌面、そして「私の作品もここに載りたい!」と思ってもらえるような、一冊の存在感や佇まい。二人の思いや考えを受け取り咀嚼しながら、雑誌としての完成度やnoiらしさを追求し、読者との繋がりをデザインしていくことで、掲載された作品や文章が、より多くの人の目に触れるきっかけをつくりたい。そんなきっかけを、編集やデザインの力で支えていきたいと日々思っています。

Q5 『俳句雑誌noi』を動物に譬えてください。その理由を教えてください。

「鯨」です。

実際に見る機会は少ないのに、みんな絵に描けるくらい知っている動物。海に棲んでいるのに実は哺乳類という意外性。周囲を怖がらせることのない温厚さがありながらも絶対的な存在感のある、その存在ごと、noiの大らかな包容力にたとえられる気がします。

鯨が発する音の中でも、メロディのような規則性とリズムを持って繰り返す鳴き声のことを「ホエールソング」といいます。何百キロ、何千キロも離れた仲間にも届くらしく、人間が作る音楽のようにいくつかのフレーズ(旋律)があり、それを組み合わせて構成していることから、科学者たちによって歌と名付けられたそう。

どれだけ離れていても、暗い深海にいても、同じ歌で繋がっている鯨。どこまでも広く深くフラットで、誰一人取り残さないつながりの場を目指しているnoiに、重ねてみました。

これが今回、一番難しい質問でした。最初は野を駆けるウサギとかにしようかと思いましたが、取り合わせが近すぎる(!)気がして。でも今は考えれば考えるほど鯨だなあと、書きながら思っています。

Q6 ご自分のことに質問が移ります。理想的な休日の過ごし方を教えてください。

3・6・9才の三兄弟と、夫の五人暮らしです。

私にとって理想の休日は「母としての理想の休日」と、「個人として理想の休日」の2パターンがあり、人生のトータルで見たときにそれぞれがいい感じに叶っている状態が理想です。すべてはバランス。

母としての理想の休日は、家族とおいしいものを食べたり、子どもたちがしたいこと、行きたいところへ出かけて、夜寝る前にみんなで「楽しかったね」振り返りたくなるような一日。

個人としての理想の休日は、句会や吟行、習いごとや美術館巡りなど、自分の感性をくすぐり満たす何かを楽しめる一日。一日中好きなことをして、好きなことを話して、好きなものを食べて飲んで、心を満たしたい。

夫にも、三人の子どもたちにもそれぞれ理想の休日があるはずですが、全員の願いを一日に一度に叶えることは至難の業です。譲りすぎず、我慢もしすぎず、互いに思いやりつつ「いい日だったね」と眠りにつける日を一日でも増やせたら、それが一番理想です。

Q7 現在お住まいの町は、どんなところですか?

岐阜県岐阜市、長良川沿いの地域に住んでいます。

5月11日から10月15日まで、中秋の名月を除く毎夜、岐阜の長良川では「長良川鵜飼」が開催されます。観覧船から見るのが一番迫力がありますが、川辺の階段に腰掛けて眺めることもできる(無料)ので、鵜飼開始を告げる花火が上がると、近隣住民や宿泊客がぞろぞろと川辺に集まってきます。

友達に声をかけて缶ビール持参で鵜飼を見ながら「川呑み」を楽しんだり、思い立って一人で川辺へ出かけて鵜飼を観ながらぼーっとすることも多いです。
朝は、その長良川沿いの「高橋尚子ロード」をランニングするのが、とても気持ちいいです!

チーフエディターである私が地方在住という点からもわかるように、noiの編集部員は全国各地にちらばっていて、物理的に集まって何かをすることはまずありません。月1回、自由参加のzoom編集会議がある以外はLINEで連絡を取り合って編集を進めている、完全遠隔編集部です。

Q8 好きな自然現象について、教えてください。

厳密には自然現象ではなく物理現象(それも人工物)なのですが、液体のりの「アラビックヤマト」をひっくり返したときに、大きな気泡がゆっくりと上がっていくあの動きがたまらなく好きです。

サラサラの水なら一瞬で消えてしまう、浮力という自然の力が、あの粘り気のある液体の中だからこそ、時間がスローモーションになったかのように感じさせてくれます。
焦りのない、じわじわとした優雅な動きを見ていると、心の底からとても癒されます。液体のりはほぼ使いませんが、これを見るために所持しています。

Q9 10年後、『俳句雑誌noi』はどうなっていると思いますか。「こうなっていたい」という野望・願望でもかまいせん。

noiとして、俳句雑誌としてどうなっていたいか、その野望については代表の二人の中にあると思うので、私としては「10年後もずっと続いていること」が、大きな夢であり目標です。

そして、その頃には今よりもっと仲間が増えていることを願っています。

10年後のnoiには、120の特集がアーカイブされ、数えきれないほどの作品が世に出ていることになります。

たくさんの人に読まれ、また読み返され、のちに「当時のこの作家はこんな作品をつくっていた」「あのとき、あの人はこう考えていた」と参照されていく本になっていくはずです。

そんな宝の山を眺めながら、みんなで「noi vol.120」を片手に、10周年記念パーティーで乾杯したいです。

Q10 最後に、ご自分の最近作を5句教えてください。ベスト・オヴでも、単に直近の5句でも、どちらでもかまいません。

胎の子とそれぞれの水泳ぎつつ
暑いので青えんぴつでいいですか
操演の小指で秋を待つしぐさ
焼きそばの列に食い込む踊の輪
書いてみてなんか違う字豊の秋
(連作「へその緒」より、夏〜秋の五句)

『noi』オンラインストア https://noi8iku.com/



『聲』遠藤由樹子さんと遠藤容代さんへの「10の質問」〔俳誌の中の人に訊く〕

〔俳誌の中の人に訊く〕
遠藤由樹子さん・遠藤容代さんへの「10の質問」


Q1 関わっていらっしゃる俳誌の名前と概要、そしてご自分の役割を教えてください。

由樹子 誌名は『聲』です。令和六年七月に娘の容代と創刊、年二回発行の完全な個人誌です。二人きりなので、役割分担などはなく、一冊が出来上がるまで二人で協力しています。

容代 『聲』。春夏号と秋冬号の年二回刊行。母と二人きりの俳誌なので、役割分担は特になく、全て共同作業です。

Q2 『聲』の特徴・アピールポイントを教えてください。

由樹子 容代が句集『明日の鞄』を上梓した号では例外的に外部の方々にご寄稿いただきましたが、基本的には二人の俳句と文章のみを掲載する小誌です。時代性や発展性を意識していないのが特徴かしらなどと思ったりもして。

容代 二人きりの俳誌なので、いい意味でこぢんまりとした雰囲気があります。そして、何を書くか、自由度がとても高いです。

Q3 『聲』を発行/維持していくうえで、苦労することを教えてください。

由樹子 例え年二回でも発行維持してゆくには結構な努力を必要としていますが、それは苦労というのとは違う気がしています。やりたい事をやりたいようにやっていることをありがたく感じているので、そこに苦労は感じません。

容代 吟行記を書くので、旅行に行ったときにたくさんメモを取らないといけないこと。吟行記に作品十句を載せるので、句帳とメモ帳を二つ持っていき、交互に何か書きつけています。

Q4 『聲』をつくっていくうえで、だいじにしていること・たいせつに思っていることを教えてください。

由樹子 何だろう? と考えたけれども、大切なのは、自分と娘の俳句と文章だと思います。というか他には何も無いし。

容代 毎回、全力を注ぐこと。創刊時の喜びを忘れないように気を付けています。

Q5 『聲』を動物に譬えてください。その理由を教えてください(理由がなければ、言いたくなければ無回答でかまいません)

由樹子 ときどき庭先に来る小鳥。ふだんは森に棲んでいて、猛禽類に襲われることもなく、それなりに逞しく俊敏に命を謳歌している。

容代 ジンベエザメ。小さな規模の「聲」とは、正反対のようですが、読んだ時に、声高ではない何かが残るようなところが、ジンベ エザメの存在感に似ていたら、うれしいです。

Q6 ご自分のことに質問が移ります。理想的な休日の過ごし方を教えてください。

由樹子 近郊へ吟行。気持ちが晴れ晴れします。

容代 朝早く起きて、行ったことのない場所に行くのが理想です。数日前から、そこについて調べて、気分を高めます。今年のゴールデン・ウィークは、百草園へ。百草園から一時間くらい散歩して、聖蹟桜ヶ丘駅を目指しました。最後はバスを使ってしまったものの、理想的な休日でした。

Q7 現在お住まいの町は、どんなところですか?

由樹子 活気があり、気どりが無い場所です。もう少し自然があればとは思います。

容代 昔懐かしい雰囲気と新しさが混ざりあっている町。

Q8 好きな自然現象について、教えてください。

由樹子 雲の峰。体力がないくせに真夏の空が好きです。

容代 雪。

Q9 10年後、『聲』はどうなっていると思いますか。「こうなっていたい」という野望・願望でもかまいせん。

由樹子 続けている。必ず続けていたいと願っています。

容代 今と同じように、無理せず、続けていけたらいいと思います。年を重ねると共に、内容が深まっていたら、さらにいいです。

Q10 最後に、ご自分の最近作を5句教えてください。ベスト・オヴでも、単に直近の5句でも、どちらでもかまいません。

由樹子 旅行から帰ってきたてです。句帳からそのままですが五句。

なつかしく旅はじまりぬ麦の秋
万緑に墓域浮かべて村ありぬ
植田風畦でスマホの操作して
門口に緋鯉やしなふ馬籠かな
日盛の軒の雀も馬籠なる

容代

地球儀が書店に売られ夏きざす
夜に水取り替へてやる薔薇かな
同じ曲流しつづけてレース編む
水遊び通行人がちらと見て
灯台を野良猫見つめ草いきれ


『聲』問い合わせ先 koe202407@gmail.com



『オルガン』宮本佳世乃さんへの「10の質問」〔俳誌の中の人に訊く〕

〔俳誌の中の人に訊く〕
宮本佳世乃さんへの「10の質問」


Q1 関わっていらっしゃる俳誌の名前と概要、そしてご自分の役割を教えてください。

『オルガン』。メンバーは岩田奎、田島健一、鴇田智哉、福田若之、宮﨑莉々香、宮本佳世乃。2015年に創刊し、年4回季刊で発行。私は一応編集ということになっていますが、校正は鴇田さんと二人で行っています。

Q2 『オルガン』の特徴・アピールポイントを教えてください。

現在43号まで発行。作品13句、テーマ詠7句、座談会、往復書簡、連句など。座談会や連句は魅力あふれるゲストを呼んでいること。テーマ詠のテーマはメンバーの持ち回りだが、その人らしさが際立つところ。〔宮本〕

誌名がいいこと。作品なら幾らでもできること。〔鴇田〕

6人の作家が個として独立しながら、独自の共同体を成している点。〔宮﨑〕

Q3 『オルガン』を発行/維持していくうえで、苦労することを教えてください(ひとつでも複数でもかまいません)。

日々の労働に翻弄されることや、体力面などさまざまな理由から、最近遅刊ぎみになっている。経済的に許せばもっと上質な印刷にしたい。〔宮本〕

メンバーの日程が合いづらいところ。〔鴇田〕

決め事は話し合いで決めるので、誰か1人が決めるよりは速度感がスローである点。そこが良さでもある。〔宮﨑〕

Q4 『オルガン』をつくっていくうえで、だいじにしていること・たいせつに思っていることを教えてください。

一人一人が作家であり、作品を大事にしているところ。〔鴇田〕

セッション感、かなと。〔福田〕

個が集まりながら、俳句を書くというロジカルさにおいて、共有しているものがある気がする点。〔宮﨑〕

みんながメンバーで一冊を作っていること。〔宮本〕

Q5 『オルガン』を動物に譬えてください。その理由を教えてください(理由がなければ、言いたくなければ無回答でかまいません)

この質問、どうする?〔宮本〕

菌類、ですかね。動物ではないか、〔宮﨑〕

菌類いいかも〔岩田〕

「菌類 動物」で調べたら菌類は植物よりも動物に近いものと近年はされているらしく、正式には「分解者」らしいです。なんかわたしはよりしっくり来た。厳密には動物ではないけど。〔宮﨑〕

じゃあ菌類にしよう〔宮本〕

いちおう、自分が動物と聞いてぱっと思い浮かんだのは、海月とか蜘蛛とかでした。ぽ。〔福田〕

Q6 ご自分のことに質問が移ります。理想的な休日の過ごし方を教えてください。

昼から川沿いでビールを飲み、ときにごろごろし、夕焼を見て帰る休日。

Q7 現在お住まいの町は、どんなところですか?

駅前は再開発が進んでキレイになり、休日は人であふれている。
大きい公園があり、道が広く、富士山もきれいに見える。
駅前は栄えているが、すぐに住宅街。ずーっと行けば、畑など。
特に南口にはまだまだいい飲み屋がある。

Q8 好きな自然現象について、教えてください。

冬の夜、うっすらと積もるほどに降る雪。

Q9 10年後、『オルガン』はどうなっていると思いますか。「こうなっていたい」という野望・願望でもかまいせん。

オルガンという共同体が変容しながらも続き、書かれたものとその姿勢によって、俳句の世界に微力ながらも風穴を開け続けること。〔宮﨑〕

引退、新規参加を含めてメンバーが入れ替わっている。楽しくやっている。〔宮本〕

メンバーがすっかり入れ替わっている。〔鴇田〕

Q10 最後に、ご自分の最近作を5句教えてください。ベスト・オヴでも、単に直近の5句でも、どちらでもかまいません。

はつ雪や紙をさはつたまま眠る  宮本佳世乃(以下同)
ひまはりのこはいところを切り捨てる
蜜柑山はやく帰つてはやく死ぬ
天井の高くてうちだけがおでん
みんなさみしい明けましておめでたう

『オルガン』問い合わせ先 organ.haiku@gmail.com
購入サイト https://organ.base.ec/