三宅やよい「鷹女への旅」 目次
初出『船団』第64-78号(2005年3月1日-2008年9月1日)
第1回 夏痩せて 嫌ひなものは 嫌ひなり ≫読む
うかつに近づけばぴしゃりとやられそうな断定の強さ。前面に押し出される烈しい自我。こうはっきり言われては、デリケートな表現を愛し、平穏をよしとする俳人には苦手な人も多いだろう(…)
第2回 夏藤のこの崖飛ばば死ぬべしや ≫読む
高女時代の鷹女は、「数学、英語、図画などを好み、作文は得意でなかったといわれている。スポーツはテニスが好きで、同校校庭の一段低いところにテニスコートがあり、熱心にコートに足を運んだ」(『成田ゆかりの人物伝』小川国彦著・平原社・2002年)という(…)
第3回 蝶とべり飛べよとおもふ掌の菫 ≫読む
「短歌もいいけど、俳句もなかなかおもしろいものだよ」俳句の世界を何も知らない鷹女をまずその世界にいざなったのは「鹿火屋」に句を投じ始めた夫謙三だった(…)
第4回 流れゆく瓜のお馬よ水に月 ≫読む
「いつでも俳句の話をしている」夫婦は、落選したときにはどこが駄目だったのか、厳しい句評を交わしたかもしれない。いずれにせよ謙三も文恵も俳句に夢中だった(…)
第5回 夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり ≫読む
六月八日(火)昨日に引き続き、今度は小野蕪子の「鶏頭陣」と同人誌「紺」の時代の俳句を俳句文学館で調べてみることにする。この時代に鷹女は次々と初期の代表作になる作品を生み出している(…)
第6回 亡びゆく国あり大き向日葵咲き ≫読む
最初の句集『向日葵』は三省堂の俳苑叢刊シリーズとして発行された。このシリーズは昭和十五年の俳句研究に綴じ込み広告が載っている(…)
第7回 瞳に灼けて鶴は白衣の兵となる ≫読む
とかく鷹女の代表句集として『向日葵』がよく取り上げられるがこの『魚の鰭』には「鹿火屋」時代に作った初期のものから個性の強い妖艶な句、そして後年の鷹女を思わせる抽象性の強い句までが混在していて独特の雰囲気をもった句集である(…)
第8回 仙人掌に跼まれば老いぐんぐんと ≫読む
日本は戦争に負け、一人子の陽一は消息不明。頼みの夫謙三は胃潰瘍で一時危篤に陥った(…)
第9回 鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし ≫読む
当時、日鉄鉱業の社屋は東京都新宿区四ツ谷2の4にあり、俳句愛好家が十名程度集まって半月に一度句会を催していた(…)
第10回 凍鶴の真顔は真顔もて愛す ≫読む
以後重信との信頼関係は鷹女が亡くなるまで続く。「薔薇」から「俳句評論」へと鷹女は身を寄せるべき場所と仲間をついに見つけたのだった(…)
第11回 蔦枯れて一身がんじがらみなり ≫読む
鷹女と赤黄男は同じ吉祥寺に住んでいたが、「薔薇」に所属するまでは、面識がなかったようだ(…)
第12回 波を織り波を織りつつ透き通る ≫読む
彼女の俳句が「一般の大衆の拍手喝采」を受けずに辺境の俳句であり続けたこと。言葉の純粋性を高めるために言葉を削ぎ落とし、孤立を深めていった在りかたを龍太は新興俳句の「生贄」と表現し、大岡は富沢赤黄男と鷹女を対にしてとらえているのだろう(…)
第13回 墜ちてゆく 炎ゆる夕日を股鋏み ≫読む
バッタリ書かなくなつた富沢さんを、私は或る時は憎んでゐたかも知れなかつた。いゝえ限りなく愛してゐた私であつたかも知れない気がする(…)
第14回 巻貝死すあまたの夢を巻きのこし ≫読む
昭和三十六年。『羊歯地獄』を上梓したあとの鷹女を「俳句研究」三橋鷹女特集号に掲載された年譜で追ってみよう(…)
第15回 最終回 寒満月こぶしをひらく赤ん坊 ≫読む
鷹女のような人が最期まで意識があったのはある意味非情ではないか。絢子さんの話を聞いたとき直感的に思った(…)
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