第719号
2021年1月31日2021-01-31
【空へゆく階段】№38 「ゆう」の言葉 田中裕明
【空へゆく階段】№39
「ゆう」の言葉
田中裕明
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【空へゆく階段】№37 解題 対中いずみ
【空へゆく階段】№39 解題
対中いずみ
高島俊男さんの近著『漱石の夏やすみ』を読んでいろいろと考えました。この本は夏目漱石が第一高等中学校の生徒だった夏休みに書いた『木屑録』という漢文紀行について書かれたものです。
高島さんは中国文学者です。その文章は漢字がすくなくて読みやすいのが見どころでしたが、この『漱石の夏やすみ』ではさらに進めて和語はほとんどかなで書いています。それがたいへん新鮮でした。
『木屑禄』という文章は、正岡子規というたった一人の読者を目あてに書かれました。高島さんは子規を『多少上っ調子なほど、陽気で快活な人であった。ひとにはむしろ、軽い、薄い、という感じをあたえるタイプである。』と評しています。これも新鮮です。
明治の一側面の伝わってくる本でした。
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【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】トニー・メイデン:楽器屋の店頭で
(次回は中嶋憲武の推薦曲)
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〔今週号の表紙〕第719号 水仙 岡田由季
〔今週号の表紙〕
第719号 水仙
岡田由季
水仙が地中海原産であることは、ナルシスの神話などからも、知識としてありました。それでも、日本水仙は、元々日本にあったもののような気がしていました。それほど日本の風景に溶け込んでいます。冬の季語としても代表的なもののひとつですね。
実際には日本水仙も、平安時代に中国経由でもたらされたとのことです(諸説あるようですが)。外来種と言うと何かと目の敵にされますが、考えてみると曖昧なものですね。
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後記+プロフィール 第719号
後記 ◆ 村田 篠
(under construction)
1956年生まれ。田中裕明に師事。第20回俳句研究賞受賞。句集に『冬菫』『巣箱』『水瓶』(第68回滋賀文学祭文芸出版賞、第7回星野立子賞)。「静かな場所」代表、「秋草」会員。
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2021-01-24
【句集を読む】海の明るさ 石井清吾『水運ぶ船』 小林苑を
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本の署名を考える 四ッ谷龍
今の奴らは物を知らないから、句集を贈るときに「謹呈」のカードを挟むだけで済ませてしまっている。本を贈るときは、一冊一冊に相手の名前を書いて、「恵存」と添えて署名して送らなければいけない。
後輩の一人がわたしに自分の著書をくれて、扉に「池田弥三郎先生・恵存」と書いた。この後輩にも言ってやった。
――君。「恵存」というのは先輩が後輩に贈るときに使うんだ。「おい、とっとけよ」ぐらいの語だ。君がわたしに贈るのなら「挿架」とでも書きたまえ。「書棚の片隅にでも、おさしはさみおきください」ということになる。(池田弥三郎『郷愁の日本語――市井のくらし――』)
恵存という語は、もともとは謙辞ではなく、「とっておけよ」といったような意味だということは、だいぶ以前のこと、中国文学に造詣の深かった、なくなった私の叔父、池田大伍から聴きました。その後、五、六年前だったと思いますが、吉川幸次郎先生のお説として、土岐善麿先生からうかがいました。そのとき、やはり土岐先生が、「挿架」という語があることを、吉川先生のお説として、教えてくださいました。(中略)わたしの小文は、もちろんああした戯文ですから、ことばの慣用や通用をことさらに無視して、わざとペダンティックに、語原説を持ち出して、話を効果的にいたしたわけであります。言うまでもなく、ことばは、その慣用や通用は無視できません。近代・現代のことばの辞典は、その慣用・通用を主として、説明いたしますし、それで十分に現代語の辞書として役立ちます。恵存が、かりにもとはどうであれ、今日、謙辞として通用し、慣用していれば、それはその限りにおいて、あやまりではありません。(中略)ざれぶみで、とんだおさわがせをいたしました。(同書)
ところは銚子ある年 海に近い国民宿舎で歴程夏のセミナーが開かれた。二日目遅れてかけつけた私が夕食を終えたころ玄関ロビーに見知らぬ紳士の来訪あり古本屋で買ったアナタの詩集『表札など』にサインせよ とはかたじけない。そのとき本の間にはさんであったのも捨てずにおきましたと。捨てないばかりかひらいて見せた扉の上にぴったりはりつけてあった一枚の名刺丸山薫様 石垣りんおお 帆・ランプ・鷗!(「へんなオルゴール」より――詩集『略歴』所収)
言葉とはなにもないところに咲く花々。あなたを愛している。
ネットで外国語の署名の例を探していたら、ある古物商のサイトでガストン・ルルーの署名が見つかったので、紹介したい。
モード・パテ、わがミキとちびのマドレーヌの大事なともだちへ楽しかった怪人の車の思い出をこめてガストン・ルルー ニース、1921年1月1日
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Labels: 四ッ谷龍
【空へゆく階段】№37 解題 対中いずみ
【空へゆく階段】№37 解題
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【空へゆく階段】№37 「ゆう」の言葉 田中裕明
【空へゆく階段】№37
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【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】The Modern Folk Quartet「This Could Be the Night」
(次回は西原天気の推薦曲)
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〔今週号の表紙〕第718号 枯れ 西原天気
〔今週号の表紙〕
第718号 枯れ
西原天気
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後記+プロフィール 第718号
後記 ◆ 西原天気
under construction
1956年生まれ。田中裕明に師事。第20回俳句研究賞受賞。句集に『冬菫』『巣箱』『水瓶』(第68回滋賀文学祭文芸出版賞、第7回星野立子賞)。「静かな場所」代表、「秋草」会員。
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2021-01-17
後記+プロフィール717
後記 ◆ 福田若之
二週にわたる新年詠につづけて、今年はじめての通常号です。
あれよあれよという間に小正月も過ぎてしまいました。この勢いで節分も来てしまうのかと思うと、ぞっとしない。
●
俳句雑誌「奎」同人。
1991年東京生まれ。「群青」、「オルガン」に参加。第1句集、『自生地』(東京四季出版、2017年)にて第6回与謝蕪村賞新人賞受賞。第2句集、『二つ折りにされた二枚の紙と二つの留め金からなる一冊の蝶』(私家版、2017年)。共著に『俳コレ』(邑書林、2011年)。
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【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】ビーチ・ボーイズ「I Can Hear Music」
(次回は中嶋憲武の推薦曲)
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10句作品 木田智美 ひろく凍つ
木田智美 ひろく凍つ
ふゆかもめ出航式はオンライン
お歳暮の煎餅つつむ青海波
あかぎれに悲鳴ちいさく手を洗う
鳥かごにパーカーかぶせたらおやすみ
去年今年いちどやりたき天の声
雪いろの冬毛のじかんみじかいね
赤いひと赤いマスクを選びけり
操演の人形の距離ひろく凍つ
スリッパもこもこ踵の透けて黒タイツ
冬の星フルフェイス脱ぐ精米所
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【句集を読む】暮らしのひとこま 津川絵理子『夜の水平線』を読む 小林苑を
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〔今週号の表紙〕第717号 ダイゼンとシロチドリ 岡田由季
〔今週号の表紙〕
第717号 ダイゼンとシロチドリ
干潮時の海岸で出会った千鳥の仲間、ダイゼンとシロチドリです。シロチドリ(小さいほう)は数えきれないほどたくさんいましたが、ダイゼンは一羽のみでした。
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2021-01-10
週刊俳句 第716号 2021年1月10日
第716号
2021年1月10日
■2021年「週刊俳句」新年詠 (2)■
(クリックすると大きくなります)
二〇二一年新年詠(2) (到着順)
はつはるの瞳も耳も萌ゆるべく 赤羽根めぐみ
汝はや酔ひて年始を告げわたる 中矢 温
竜の玉世界を少し明るくす 神山 刻
マスク干す二日に風のひとつなき 村上 瑛
元日の夜や電話して月痩せて 戸澤光莉
お鏡丸くて牛糞ほかほか 平和像 堀本 吟
筆始なんと書くかをぐずぐずと 池田澄子
マンションの門松に傘刺してある 小林鮎美
観覧車の真中を出づる初日かな 松野苑子
金継ぎのごとき雲端初日の出 小谷由果
歌かるた肉食獣のやうに待ち 西山ゆりこ
おだやかに危機のありけり去年今年 しなだしん
ちよろぎちよろぎ夢の残像転がせり 常盤 優
四日だとばかり思つてゐた三日 柘植史子
屠蘇散を訝るをのこめのこかな 岸本由香
この猿子届くや陰のアパルトマン 薮内小鈴
雲は鰐喉のあたりに初日溜め 黒岩徳将
太箸といつもの箸と混ざりをり 千野千佳
卒論の長い脚注初筑波 郡司和斗
酒瓶を取りにゆく間に年新た 星野いのり
幾重にも藍を重ねし初御空 坂西涼太
御降を飲みこむ海の息づかひ 鈴木総史
三ヶ日ゾンビ映画を見まくった 山本真也
賀状じまひした筈なのに賀状くる 渕上信子
泣いてる子は泣いてるままに初写真 吉田 瞳
牛日の風門に貼るホッカイロ 森 青萄
冬襖家族ぱらぱら画面去る 斎藤悦子
火星より土星へ飛びぬ絵双六 宇志やまと
のつぺらぼうのやうに過ぎゆく三が日 金子 敦
LGBTのGとしての姫始 雪我狂流
初夢に叫び続けてゐたらしく 松本てふこ
花火爆竹鐘乱打して去年今年 村越 敦
おかけになったでんわげんざい松の内 なかはられいこ
敵といふもの今は有り人勝節 橋本 直
初日記本日猫の訪ひ来 青山酔鳴
去年今年教会の戸が開いてゐる 小久保佳世子
人日の猫のすり寄るふくらはぎ 大野泰雄
乳清の濁りの豊か日の始め 南方日午
人日や菓子折りの紐とつておく 有瀬こうこ
可愛さや干支三周をまつたうし 佐藤文香
朗らかな声重ね合ふ初電話 相馬京菜
初山河ひとすぢかかる蜘蛛の糸 中西亮太
んぐうるると擦り寄る猫を初抱つこ 茅根知子
寒灸すえたしCOVIDにあの人に 春日石疼
読初は今年はゆけぬ旅日記 内村恭子
独楽飛ばす子を怖れをり姉妹 羽田野 令
注連飾る項が夜気に触るるとき 森山いほこ
側溝にビニールボール松の内 藤田 俊
ふっと気付けば寒苦鳥なり 岡本遊凪
初東風や朱華にひらく工芸茶 このはる紗耶
ゆらゆらと初湯のところどころ夢 月野ぽぽな
声高にヤンキーら来て初詣 関 悦史
初凧の糸をたどれば父がゐる 津川絵理子
お雑煮にタイタニックが沈没す 榊 陽子
赤べこの赤あたらしい問いとして 八上桐子
六日には七百円の苺かな 松本 恵
次々に死者の挨拶去年今年 石原 明
ちはやふる絵札に伸びる手と手と手 小林苑を
初仕事一本もなきちんすかう 龍翔
なまはげの二匹で来れば男女かな 岡田由季
お飾を頭に装着しピン芸人 亀山鯖男
うみうし や はつひ の うみ の ありどころ 高山れおな
鳥の木に朝日満ちたる淑気かな 大井さち子
半島の先端目指し初電車 望月とし江
冬桜すこし寄り添ふことゆるし 藤本夕衣
道中双六あそびごころも遅れたり 谷口慎也
黒豆や壊るゝものに民主主義 今朝
ぽつぺんの耳鳴りぽこぼこと小人 浅沼 璞
人日の七つ並べるハッシュタグ 瀬戸優理子
しょうが湯が濃すぎるのかもこの単語 二村典子
読みはじむ読むほかに興あるべしや 神保と志ゆき
見晴らせば故人たなびく初筑波 岡野泰輔
初空へおほきく口をひらきけり 藤原暢子
初空のそこへ地球を蹴りとばす 大西主計
元朝の縁取る匙のひとつきり 春野 温
鬚が髭に遭ふ初仕事 水野大雅
初風や額にあたらしきニキビ 水野結雅
大風の七草粥となりにけり 川嶋一美
ほのぼのと街の灯届く姫始 町田無鹿
若き水老いたる山の初景色 日原 傳
曳猿が見得を切ります斬られます 藤井祐喜
竹馬にいとこのような雲かかる こしのゆみこ
飲み物にトロミつけられ年男 喪字男
舌で知る臍の浅さの七日たる 山田耕司
七日を過ぎて思ひ出す事もあり 西村麒麟
うみとそら水平線のある賀状 高橋洋子
一枚は日本郵政(株)よりの賀状 松尾清隆
枯菊の密の砕けてゆくけむり 鴇田智哉
元旦の寝覚めの床の虚しさよ 林 雅樹
くひつみや積読の先づ一書採る 田中目八
初春やハルルハルハレひかり降る 瀧村小奈生
親族の舌の数ほど御慶かな 近江文代
松過ぎて剃るものおほき体かな 樫本由貴
コンビニの賀状いちまいだけ摘む 桐木知実
七種の地霧へ雪の降りにけり 若林哲哉
羊日に思う肢体を連れている 青山ゆりえ
小寒やクラリネットの音高し 宮本佳世乃
双六も箱根越えなる疲れかな 井原美鳥
初日出づ金・銀・鉄の斧をもて 飯島章友
元日や売られておらぬ欲しい花 うっかり
大福茶母より家系図の話 鈴木春菜
初夢や琳派の雨をさめぎはに 太田うさぎ
人日の電気ポットが漏れている 近 恵
旧年の葉に風の紋様雨の綺羅 下坂速穂
眺めては灯りがあたり室の花 依光正樹
見えて来るものを見るべく初旦 依光陽子
子を不意に泣かせてをりぬ七日かな 田口茉於
人の輪をはなれて開く初みくじ 進藤剛至
池見ればしづもる枯葉福笑 上田信治
去年今年ふいに時間の跳ねあがる すずきみのる